2018年のマイベストアルバム
結局年に1回この時期に更新するだけになっているんですよね。
2018年はApple Musicをはじめて、本格的にサブスクリプションに手を出した年
になったんですが、正直なんでもっと早くはじめなかったんだろう……と思いました。
TLでこのアルバムがいいって表示されるとすぐ聴いたり、自分で色んなプレイリストを適当に再生したりして、今までキャッチできなかった音楽をたくさん聴けたので非常に有意義でした。
しかし、その反面新しい情報に飲まれ気味で、アルバムをたくさん聴き込むことが今年は特に少なかっです。
その中でベスト25枚の順位はつけましたが、上位4枚以外はそこまで大きな差異がないのが正直なところです。
今回からはサブスクで聴いた作品も対象に入れました(それでいいのかなって気持ちはまだちょっとありますが)
まぁ寄ってらっしゃって、見てらっしゃれば幸いです。
25.Bearwear「DREAMING IN.」
東京のインディーロックバンドの1stアルバム。Turnoverみたいにエモーショナルハードコアをベースにドリームポップ、ギターポップを織り交ぜて、ここまで絶妙な塩梅で楽曲に昇華させるバンドって日本でほとんどいなかったのでは。特に「e.g.」〜「In The Wood」の流れは文句なしに素晴らしいです。
24.サニーデイ・サービス「the CITY」
26歳になって初めてサニーデイのアルバムを聞いたのですが、アラフィフのおじさんが80分超えで実験精神溢れるアルバムをつくる創作意欲に感服です。1曲目から「Fuck You」を連発するイカれ具合もいいですけど、「おばあちゃんのドライフラワー」「熱帯低気圧」と曽我部さんのシンプルなギターと声が際立つ曲(アレンジは凝っていますが)がいいですね。
23.DSPS「時間的產物」
Homecomigsの盟友としても知られる台湾の女性ボーカル4人組の1stアルバム。スーパーカーをきっかけにバンドを結成したらしいですが、シューゲイズ要素は少なくてキュートでセンチメンタルなギターポップが全編に渡って堪能できます。
22.Snail Mail「Lush」
ボルチモア出身のSSWの1stアルバム。まだ10代でのリリースで、2018年特に話題になったのですが、自分もジャケット通りの音にやられた1人です。飾り気ないセンチメンタルなギターポップだけど、とにかくメロディーと声が抜群にいいですし、曲の説得力だけで捩伏せられる凄みがあります。
21.Madeline Kenney「Perfect Shapes」
シアトル出身のSSWの2nd。チルウェイヴ以降のインディーポップなんですが、随所で光る印象的なギターリフと、多彩なリズムパターンが非常に気持ちいいです。
20.ASIAN KUNG-FU GENERATION「ホームタウン」
何より今までのどのアルバムより音が骨太で驚きました。曲の構成は練られながらも、どこからとっても今のアジカンがやるパワーポップが存分に詰まったアルバムではないかと。
19.Anchorsong「Cohesion」
ロンドンで活動する日本人プロデューサー3rd。タブラなどインドの伝統楽器を取り入れたアルバムであり、打楽器と打ち込み、またギターやスティールパンなどの楽器との混ざり方が絶妙で、酒飲みながら聴きたい音楽です。ceroのPLMSが好きな方に聴いてほしい。
18.Arlie「Wait」
米ナッシュビルのインディーロックバンドの1stEP。60s~90sのロック・ポップスを内包したインディーロックなんですが、とにかく全曲メロディーが抜群にポップなのが素晴らしいです。
17.Art School Girlfriend「Into the Blue Hour」
嘘みたいなアーティスト名ですが、英マーゲイトのSSWの2ndEPです。UKらしい湿り気のあるメロディーが印象的なんですが、個人的にはThese GhostsやD.A.N.とか好きな方に聴いてほしいです。
16.MONO NO AWARE「AHA」
1stは2017年の1位だったので期待しかなかったんですが、単純に1曲1曲の強度は前作に劣ってしまう感じがしました。しかし、アルバムの流れは聴けば聴くほどよく馴染むし、何より1曲目の「東京」は2018年3本の指に入るベストトラックです。
15.D.A.N.「Sonatine」
サポートメンバーである小林うてなが離脱して初めてのアルバムで、一つの到達点ともいえた前作「Tempest」から音数が少なくなり、新たな方向性を模索してる印象です。特に「Sundance」と「Cyberphunk」のフレーズと展開はD.A.Nの新境地といっていいのでは。
14.シャムキャッツ「Virgin Graffiti」
まさか1年半も経たずアルバム出すと思ってなかったです。前作がコンセプチュアルな作品だった分、今作は曲ごとにそれぞれ色が違うバラエティ豊かな作品でした。相変わらずギターが気持ちいいし、聴き込んでよさがどんどん出てくるアルバムです。
13.vansire「angel youth」
米ミネソタのドリームポップデュオの1stです。まさにサブスクをやってなければ見つけられなかった音楽だなと思います。ジャケットとタイトル通りのリバーブとエコーが効いた気怠く退廃的なドリームポップではあるんですが、客演が多くリズムもヒップホップ的なアプローチが強いです。寝るときには1番聴きましたね。
12.Rolling Blackouts Coastal Fever「Hope Downs」
豪メルボルンの5人組の1stアルバムです。ピッチフォークで結構高評価だったのが意外でしたが、アルバム通じて3本のギターの絡みとシンプルで安定感あるリズムが絶妙です。大学時代にこれ聴いてたら間違いなくコピーバンドしたくなってたと思う。
11.Death Cab for Cutie「Thank You for Today」
何より曲の良さ以上に音の良さにビックリするアルバムでした(くるり岸田も大絶賛してたし)。曲の良さは前作に譲る部分はありますが、何より音が良いので、気がつけば手を伸ばして聴いてしまうことが多かったです。
10.蓮沼執太フィル「アントロポセン」
まさか2ndを出してくれるとは思わなかったので、それだけで嬉しかったです。曲数は増えましたが、曲の時間はコンパクトになり、人数が増え音はより鮮やかに、そして蓮沼執太と木下美紗都のボーカルの絡み合いはさらに美しくなりました。木下美紗都作の曲があるのも驚きでしたね。福岡でのフリーライブが、台風による仕事の都合で直前で見られなくなったのは2018年1番悔しい出来事でした。
9.odol「往来するもの」
派手さはないけど、こんなに緻密で丁寧なポップミュージックをつくるバンドって中々居ないと思います。ミックスはまったく分からないけど、どの曲も色んな音が使われているのに、聴き疲れせず気持ちいい音が絶妙だなと思います。「時間と距離と僕らの旅」はダウナーな時期に助けられた曲です。
8.Pinegrove「Skylight」
2017年時点で完成されてたらしいですが、強制わいせつの告発など紆余曲折を経て発表された3rdアルバム。若干複雑な気持ちで聴いたけど、零れ落ちそうな美しいメロディーと歌はまさにエモそのものです。American Football、Death Cab for Cutieと並び称されるべき音楽だといえるでしょう。
7.路地「これからもここから」
東京のインディーポップバンドの2ndアルバム。2018年は女性ボーカルの曲をよく聴いたのですが、初めて知ったバンドの中では1番聴きました。オーセンティックなポップスなんですがギターのフレーズどグルーヴ感がいいです。それとアルバム後半の「月と舟」〜「おきてがみ」の流れは特に素晴らしいです。
6.ツチヤニボンド「Mellows」
高野山の怪物による3年ぶりのアルバムですが、タイトル通りメロウな音でグルーヴが素晴らしい曲ばかりでした。アルバム全編通してリズムが肝であり、ブラジル音楽〜民謡〜パンクと雑多な音楽性を、このバンドにしか出せない音で表現してて、まさに唯一無二のバンドといえます。フェスに出ないし九州にも来ないので、ライブ見れる確率がほぼゼロなのが悔しいです。
5.Homecomings「WHALE LIVING」
「リズと青い鳥」の主題歌にも起用されるという素晴らしいトピックもあった中での3rdアルバムでしたが、日本語詞を全面的に導入することで、オーセンティックなポップスにグッと近づいた印象でした。シンプルなんだけどまったく飽きの来ないメロディーと歌詞がつくれるセンスは、日本のバンドの中でもズバ抜けていると思います。
4.People In The Box「Kodomo Rengou」
今年1番聴いた音楽は間違いなくピープルで、持っていなかった他のアルバムもたくさん聴いたのですが、最新作もやはりピープルにしか到達できない傑作でした。曲の構成はより複雑になり、現実とディストピアの境界を行き来するような歌詞はさらに研ぎ澄まされています。その中でも「かみさま」は歌詞の解釈も含め、ピープル史上最も訴求力のある大名曲ではないでしょうか。
3.MASS OF THE FERMENTING DREGS「No New World」
8年ぶりのアルバムは円熟味と瑞々しさを同時に放つ完璧に近いアルバムでした。「No New World」のような以前なら絶対やってなかった曲もあり、また奈津子さんのボーカルが以前より圧倒的に伸びやかで美しくなってました。個人的には小倉さんボーカル(イースタンユース吉野さんみたいで素晴らしい)の「HuHuHu」が最高なので、次もそういう曲を聴いてみたいです。
2.cero「POLY LIFE MULTI SOUL」
こんなに陶酔できて仄かに不穏さが漂う音楽ってあまりなかった気がします。ある意味シティポップの雛形となった前作から、リズムアプローチ、構成、コーラスワークすべてがより一層進歩しており、あまり聴いたことない譜割りの歌なのに、メロディーも歌詞もこれしかないというような曲ばかりで、とにかく圧倒的でした。正直こんな大傑作産み出したら次のアプローチがあるのか?という気までしてしまいます。その中でも表題曲でラストの「POLY LIFE MULTI SOUL」は、2010年代の日本のシーンで1つの到達点といえる曲です。正直もうこれが1位で決まりでしょと11月半ばまでは思ってたのですが……
1.中村佳穂「AINOU」
今年も初めて聴いたアーティストが1位になりました。リリースと同時にTLで傑作と騒がれまくって、「きっとね!」を聴いて度肝を抜かれてすぐ注文したのを覚えています。レミ街の深谷氏とタッグを組み、打ち込みと生楽器の音を絶妙な塩梅で組み合わせ、メロディー、音の配置、譜割り、歌い方、歌詞…すべての面で丹念に作り込まれています(メロディーの随所にレミ街っぽさを感じます)だけど、それに対し、彼女の歌はとても感覚的で、歌い方一つで聞き手の感情を強烈に揺さぶる凄まじさと喜びに満ちており、ライブ映像見てても、とても楽しそうに歌ってて、音楽に愛されている人ってこういう人なんだなと思いました。2月にライブ見るのがとても楽しみです。
というわけで、中村佳穂が残り1ヶ月半でceroを一気に捲って1位となりました。2019年もたくさんいい音楽を聴いて、いいライブを見て、美味しいラーメンうどんカレーを食べて、健康に過ごしますので、皆さんもすばらで怠惰な生活を過ごしましょう。